エクセルのマクロの記録は、コードを打つことなくマクロの機能が使えるとても便利な機能です。
手動の繰り返し作業を自動化することで、作業時間を短縮し、効率化を図ることができます。
本記事では、マクロの記録の基本的な使い方を解説していきます。また具体的な使用例も併せて紹介していくので、皆様の業務に活用してください。
マクロとは何か
マクロは、Excelで作業を自動化するためのプログラムのことです。手動で行っている繰り返し作業を、一度マクロとして記録しておけば、短時間で自動的に実行することができます。
マクロを使用することで、作業の効率化や作業ミスの軽減、作業時間の短縮など、多くのメリットがあります。ただし通常のマクロであれば、VBAというプログラムを理解し、正確な記録や適切な処理を行うための知識や技術が必要です。
今回紹介するマクロの記録は、VBAというプログラムコードを打つことなく、自動的にエクセルの操作を記録して、全く同じように実行してくれる機能となります。
業務効率化をマクロで行うメリット
マクロを使った業務効率化には、様々なメリットがあります。
1,作業の自動化による作業の時短・精度向上
マクロの記録を使用することで、一定の手順や作業を自動化することができ、簡単な作業の自動化を行うことができます。これにより、時間と手間が削減され、作業の精度も向上します。
2,エラーの減少
手作業はどうしてもミスをする可能性があります。マクロによって自動化されたタスクは、エラーが生じる可能性が大幅に減少するので、正確な作業ができるようになります。
3,プログラミング的思考を行うキッカケになる。
プログラミングの考え方は、他の業務でも問題解決に向けた一連の手順を整理し、計画的に実行するための体系的な思考に繋がります。マクロの記録でも、自分の作業をひとつひとつの手順に分けて考える必要があるため、プログラミング的思考を行うキッカケとなります。
マクロを使った業務の例
今回は以下のような場面を想定して、サンプルのデータを使って使い方を説明していきます。
想定する場面
まとめのエクセルに、1日分のデータを毎日張り付けを行う。
エクセルのサンプル
まとめのエクセル
1日分のデータ
行う作業
「1日分のデータ」をコピーして、「まとめのエクセル」に毎日貼り付けを行う。
この貼り付け作業単体は、手作業でも10秒もかからない簡単な作業です。しかしながらこういった作業が複数ある場合であれば、自動化することで時間的なメリットが出たり、自動化することでヒューマンエラーがなくなるため、正確な作業ができるようになります。
そもそも、マクロ化することで時間が余計にかかるということは通常ありませんので、精度向上の意味合いでも、マクロ化できるものはマクロにしてしまうのがおすすめです。
マクロの記録の手順
先ほどのサンプルを例に、マクロの記録を行う手順を説明します。
1,マクロ化する作業の動きをとらえる
マクロの記録では、エクセルで行った動作を一つずつ記録し、再現してくれます。ですので、実際に行う動作をひとつひとつ分解して考えていきます。
今回の場合は、
①1日分のデータのシートを開く
②コピーする場所を選択する
③コピーする
④まとめのシートを開く
⑤貼り付けたい場所を選択する
⑥貼り付ける
といった動作になります。
2,「開発」タブをクリックし、「マクロの記録」をクリックします。
メニューバーにある「開発」のタブから、マクロの記録をクリックします。
※開発タブがない方は、開発タブを出す必要がある為、以下ページを参考に設定をしてください。
3,マクロの名前を入力し「OK」を押す
マクロの記録をクリックすると、以下のような画面が出てきます。マクロ名を自分のわかりやすい名前に変更して「OK」ボタンを押します。
※注意
OKを押した瞬間から、動作記録がスタートします。
OKを押した後は、1で考えた動作のみを行ってください。
4,必要なアクションを実行
「1」で考えた6つの動作を順番に行っていきます。
①1日分のデータのシートを開く
今回私は、「Sheet2」に1日分のデータを張り付けているので、「Sheet2」を選択します。
②コピーする場所を選択する
今回コピーする範囲を選択
※重要:選択範囲が変更する場合の対処法
1日分のデータの縦の長さ(データの数)が、日によって変わる可能性があるとき、普通に選択をすると対応ができなくなってしまいます。そこで自動で調整をしてもらうために、ショートカットキーを使用することで対応ができるようになります。
詳しいやり方は、以下のリンクをご確認ください。
③コピーする
右クリックのコピー、もしくは「Ctrl」+Cでコピーをします。
④まとめのシートを開く
まとめシートを開きます。今回私は、「Sheet1」にまとめのデータがあるので、「Sheet1」を選択します。
⑤貼り付けたい場所を選択する
今回貼り付けたい場所は、表の一番下の部分なので、選択します。
※重要:貼り付け開始場所が変更する場合の対処法
今回の場合、データが増えるたびに貼り付け開始場所が変わります。先ほどのショートカットキーを応用して、貼り付け開始場所を変更します。
⑥貼り付ける
右クリックの貼り付け、もしくは「Ctrl」+Vで貼り付けを行います。
5,「記録を停止」をクリック
開発タブの中の先ほどクリックしたマクロの記録が「記録終了」に代わっているので、すべての動作が完了したら、ここをクリックします。
ちなみにこれにより、自動的にこんなVBAが書かれています。
マクロの実行方法
マクロを実行するときは、開発タブのマクロから、実行したいマクロを選択し、実行をクリックします。
ひとつ一番の注意のポイントですが、マクロを実行するとエクセルの「戻る」ボタンで、戻すことができません。私も初め、何度もミスったマクロを実行してしまい、データを消すはめになりました…
ですのでマクロを実行する前は、必ずバックアップを取ってから、実行するようにしてください。
1,マクロを選択
2,実行したいマクロを選択→実行をクリック
これにより、自動的に先ほどの動作が行われるようになります。
その他の活用例
今回は、元のデータに新しいデータを追加するといった使い方を紹介しましたが、フォーマットにデータを入力したり、毎回足し算引き算を追加しているリストなどがあれば、関数を自動的に入力するといった使い方でも、かなり効率化をすることができます。
細かな調整は難しいですが、簡単なPC操作であれば、自動化して時短・効率化を図ることができます。
最後に
マクロの記録は、効率が悪いやらコードが汚いやら、VBAができる人たちに結構ひどく言われている機能の一つです。「それだったら、VBAを覚えた方が早い」なんか言われていたりもします。
ですがVBAをマスターした僕は、今でもコードを作る時に補助的にマクロの記録は使用していますし、簡単な作業であればマクロの記録で十分な場合も結構あります。
マクロの記録は、VBAのように覚える為に勉強したりする必要もほとんどなく、簡単にマクロの自動化ができる便利機能です。コードを打つ気はなくとも、この機能だけは覚えておいて損はないので、是非活用してみてください。
※マクロの記録を行う上で、便利なショートカットキーについても別記事でまとめています。
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