本業や家庭が忙しくて、有報を読む時間が取れない…
AIを使って、効率的に決算資料の確認をしたい!
上場企業の有価証券報告書は、短いものでも100ページを超えます。決算のたびに更新される決算短信、競合との比較まで含めれば、1銘柄の調査だけで数時間から数日かかることも珍しくありません。本業を抱える個人投資家にとって、この時間の捻出はなかなかつらい部分がありますよね。かといってSNSの口コミや要約記事といった二次情報に頼ると、重要な兆候を見逃すリスクがあります。
この「読むべき資料は分かっているのに時間が足りない」という壁を一気に壊してくれるのが、Googleの提供するNotebookLMです。
この記事では、有報や決算短信をNotebookLMに読み込ませ、コピペするだけで高速に分析する具体的な手順を、すぐ使えるプロンプト付きで紹介します。ぜひこの記事を参考にして、効率的な分析を行ってみてください!
なお、この記事で3つのプロンプトを紹介していますが、NotebookLMによる個別株分析のプロンプトをまとめた書籍を販売しています。
各分析テーマごとにコピペで使えるプロンプトがまとまっているので、本記事を実践してさらに踏み込みたくなった方は、あわせてチェックしてみてください。なお、Kindle Unlimitedで無料で読めますので、併せて確認してみてください!
目次
【結論】コピペで使える3つのプロンプト
やることは「NotebookLMに資料を読み込ませ、用意したプロンプトを貼る」だけです。
難しい設定もコード知識も不要です。まずは全体の流れと推奨ソースを押さえ、あとは下のプロンプトをコピペして使ってみてください。
理由や仕組み、詳しい準備手順は後の章で解説します。
まずは全体像(3ステップ)
使う流れは、以下のです(各手順の詳細は後の章で解説します)。
- ステップ1:NotebookLMでノートブックを新規作成する
- ステップ2:有報・決算短信などのPDFをドラッグ&ドロップで読み込ませる
- ステップ3:下記のプロンプトをコピペして質問する
推奨ソース(NotebookLMに入れる資料)
分析の精度は、入れる資料でほぼ決まります。まずは以下の一次情報をインプットしましょう。
- 有価証券報告書(直近1〜2期分)
- 決算短信(推移を見るなら直近3〜5期分)
- 決算説明会資料(直近1〜2回分)
- 中期経営計画資料(あれば)
プロンプト①|事業内容・収益構造をつかむ
「この会社は結局、何で・どうやって稼いでいるのか」を腹落ちさせる、すべての分析の出発点になるプロンプトです。
この会社の事業内容を以下の観点で整理してください。
1. 主力となる事業の概要(何を、誰に、どうやって提供しているか)
2. ビジネスモデルの特徴(フロー型かストック型か、収益化の仕組み)
3. 売上が立つまでのプロセス(顧客獲得から売上計上までの流れ)
4. 利益の源泉(どこで主な利益が生まれているか)
専門用語は避け、初めてこの会社を知る投資家にもわかるように記述してください。
プロンプト②|財務三表の複数期推移を読む
単年の数字ではなく「複数期にわたる変化」を読むためのプロンプトです。利益の質やキャッシュの動きまで一気に表で整理させます。
この会社の財務三表について、直近3〜5期分の推移を以下の観点で整理してください。 【損益計算書】 1. 売上高・営業利益・経常利益・純利益の推移 2. 売上総利益率・営業利益率の推移 3. 販管費率の変化 4. 特別損益で大きな項目があれば抽出 【貸借対照表】 1. 総資産・自己資本の推移 2. 自己資本比率の推移 3. 有利子負債の推移 4. 売掛金・棚卸資産の推移(売上との比較) 5. のれん・無形資産の推移 【キャッシュフロー計算書】 1. 営業CF・投資CF・財務CFの推移 2. 営業CFと純利益の乖離 3. フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)の推移 4. 大きな投資・資金調達があれば抽出 表形式で整理し、注目すべき変化があれば最後にまとめてください。
プロンプト③|セグメント別の売上・利益のズレを見抜く
全社の数字だけ見ていると、好調な事業と不調な事業が打ち消し合って実態が見えません。事業別・地域別に分解して「どこが稼ぎ、どこが足を引っ張っているか」を浮き彫りにします。
この会社のセグメント別業績を以下の観点で整理してください。
1. 商品・事業セグメント別の売上構成比と利益構成比
2. 地域別の売上構成比と利益構成比
3. 各セグメントの売上成長率(直近期と前年比)
4. 各セグメントの利益率
5. 全社の利益のうち、最も貢献しているセグメントはどれか
6. 成長セグメントと縮小セグメントを明示
可能であれば表形式で整理してください。
次の章からは、NotebookLMの強みと実際の準備手順を、順番に解説していきます。
なぜNotebookLMだと正確に・速く読めるのか
「AIで決算書を読むなら、ChatGPTでもいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし有報のような一次情報を正確に読み解く用途では、NotebookLMに明確な優位性があります。
その理由は、AIとしての仕組みそのものが違う点にあります。
「学習データで答えるAI」と「投入資料で答えるAI」の違い
ChatGPTのような大規模言語モデルは、膨大なテキストを学習し「次にくる言葉を予測する」仕組みで動いています。便利な反面、学習データにない情報や曖昧な問いに対しても、それらしい答えを生成してしまうことがあります。
存在しない決算数値を答えたり、実際とは違う事業内容を説明したりといった事態は、投資判断の根拠としては致命的です。
一方のNotebookLMは、自分がアップロードした資料の範囲内でしか回答しません。資料に書かれていないことは「この資料からは判断できません」と答えるよう設計されています。一見すると不便に思えますが、有報や決算短信という一次情報を直接投入する投資分析においては、この「嘘をつきにくい」性質こそが最大の強みになります。
根拠箇所を提示してくれるから投資判断に使える
さらにNotebookLMは、回答の根拠となった資料の該当箇所を示してくれます。
数百ページの有報の中から必要な情報を正確に拾い上げ、「どこに書いてあったか」を提示しながら答えてくれるため、重要な判断の場面でも回答の信頼性を自分で検証できます。
これが、個別株分析でNotebookLMを信頼できる決定的な理由です。
スクリーニングはChatGPT、深掘りはNotebookLMの使い分け
誤解のないように補足すると、NotebookLMは万能ではありません。
注目銘柄のスクリーニング、最新の市況把握、マクロ環境の概要確認といった「広く浅く」の用途は、Web検索に対応したChatGPTやGeminiのほうが圧倒的に得意です。
役割を整理すると、銘柄の概要把握や市況チェックはChatGPT・Gemini、特定企業の一次情報を正確に深掘りする本格分析はNotebookLM、という使い分けになります。
両者は目的がそもそも違うツールだと理解しておくと、AIを投資に活かしやすくなります。
実践のための準備(資料の集め方と読み込ませ方)
結論のプロンプトを最大限に活かすには、最初の「ソース選び」が9割です。
NotebookLMはアップロードした資料の範囲で回答する以上、入れる資料の質がそのまま分析結果の質に直結します。
ここでは準備を3ステップで解説します。
必要なものはGoogleアカウントだけ
NotebookLMの利用に必要なのはGoogleアカウントだけです。
普段使っているアカウントがあれば、公式サイト(notebooklm.google.com)にログインするだけですぐにノートブックを作成できます。
専用アプリのインストールは不要で、PCでもスマホでもブラウザから利用可能、日本語にも標準対応しています。最初から有料プランを契約する必要はなく、個別株分析の用途なら無料プランで十分です。

NotebookLMは決まったソースの情報だけを使って回答を行います。ソースは左の「ソースを追加」から追加を行います。

質問については、真ん中下側のチャット欄から行います。ここは通常の生成AIと同じです。

そして会社ごとに別のチャットを行いたい場合は、「ノートブックの作成」を押せばOKです。
EDINET・企業IRサイトから有報や決算短信を集める
結論で挙げた推奨ソースは、PDFで入手しソースとしてNotebookLMに入れるようにしましょう。
紹介したソースと、基本的な入手先は次の通りです。
- 有価証券報告書:金融庁の開示システム「EDINET」
- 決算短信:金融庁の開示システム「EDINET」
- 決算説明会資料:企業のIRサイト
- 中期経営計画資料:企業のIRサイト
ソースは「信頼できる一次情報を、絞らず多く」入れる
よくある疑問が「目的別にソースを絞ったほうがいいのか」という点です。結論として、その絞り込みは不要です。
NotebookLMは質問の段階で関連情報を抽出して回答するため、資料が多くても回答が散らかることはほとんどありません。むしろ複数の資料を同時に入れておくことで、「有報のリスク記述」と「決算説明会の質疑応答」がつながるなど、想定していなかった発見が得られるメリットのほうが大きくなります。
意識すべきは「絞り込み」ではなく「信頼できる情報を見極めること」です。企業が公式に開示している一次情報を中心に据え、出典不明の個人ブログや信頼度の低い記事は混ぜないようにしましょう。アナリストレポートは補助的に使う分には問題ありませんが、メインは常に一次情報、が原則です。
プロンプトを使いこなす3つのコツ
結論で紹介したプロンプトはそのまま使えますが、自分の知りたいことに合わせて応用できると分析の幅が一気に広がります。精度を上げる3つのコツを押さえておきましょう。
「具体的に・形式指定・観点明示」の原則
良いプロンプトには共通点があります。
それは「具体的に聞く」「出力形式を指定する」「分析の観点を明示する」の3つです。
「この会社について教えて」ではなく、「売上高の上位3セグメントとそれぞれの利益率を表形式で整理してください」のように、何を・どんな形で・どの視点から知りたいのかを明確にするだけで、整理された回答が返ってきます。結論で紹介した3本も、この原則に沿って設計しています。
複数期分を入れて横断分析させる
NotebookLMが最も力を発揮するのが、複数期の資料を横断する分析です。
人間が手作業でやると膨大な時間がかかる「5期分の利益率推移」「売掛金が売上に比べて不自然に膨らんでいないか」といったチェックを、数分で済ませられます。財務三表のプロンプトで直近3〜5期分を指定しているのは、まさにこの強みを活かすためです。
特定の指標を深掘りしたいときは「営業利益率の悪化要因を、販管費・原価率・売上構成のどこに変化があったかで分析して」のように再質問すると効果的です。
派生プロンプトをAIに作らせる
一番のおすすめは、紹介したプロンプトをベースに、深掘りしたい論点に合わせた派生プロンプトをChatGPTやGeminiに作らせる方法です。
たとえば「ある上場企業のビジネスモデルを分析するために、NotebookLMに投げるプロンプトを作って。読み込ませる資料は有報と中期経営計画です」と依頼すれば、たたき台を用意してくれます。
「自分のプロンプト+AIに作らせる」の組み合わせを覚えておくと、自分の分析スタイルに合わせて柔軟に応用できるようになります。
まとめ|数時間の読み込みを、数分の対話に変える
有価証券報告書や決算短信の読み込みは、これまで個人投資家にとって大きな時間の壁でした。NotebookLMに一次情報を投入し、この記事で紹介したプロンプトを貼るだけで、その壁は「数分の対話」に変わります。
なお個別株1社の分析なら、有報・短信・説明会資料・中期経営計画を入れてもソース数は10〜20個程度に収まり、無料プランの範囲で十分です。
複数テーマを並行して大量に分析するヘビーユーザーになった段階で、有料プランを検討すれば問題ありません。まずは無料プランで、気になる1銘柄を試してみるのがおすすめです。
この記事では有報・決算短信の読み込み効率化に絞って紹介しましたが、リスク分析・競合比較・保有後の継続評価まで含めたNotebookLMの個別株分析をまとめた書籍を販売しています。
各分析テーマごとにコピペで使えるプロンプトがまとまっているので、本記事を実践してさらに踏み込みたくなった方は、あわせてチェックしてみてください。なお、Kindle Unlimitedで無料で読めますので、併せて確認してみてください!



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